前回は、サッカーのポジションについてお話してきました。
今回は、サッカーのフォーメーション。
最近、プロ、アマ問わずよく使われているフォーメーション、4-2-3-1と4-3-3を徹底分析します。
4-2-3-1は、Jリーグの横浜F・マリノス。4-3-3は、リーガエスパニョーラ(スペインリーグ)のレアル・マドリッドを参考。マリノスとレアルが、それぞれのフォーメーションで、どのような攻撃、守備をしているか。そのフォーメーションにどんな特徴があるのかなど、図解を使って見ていきます。
目次
サッカーフォーメーションの特徴4-2-3-1を徹底分析!マリノス
まずは、横浜F・マリノスのフォーメーション、4-2-3-1から。
2016年3月19日(土)に行われた、Jリーグディビジョン1(J1)1stステージ第4節。横浜F・マリノス 対 サガン鳥栖戦が、三ツ沢競技場で行われました。横浜F・マリノスのフォーメーションは、4-2-3-1。対するサガン鳥栖は、4-4-2です。
4-2-3-1の特徴
4-2-3-1は、4枚のディフェンスに、ボランチ2枚を置き(ダブルボランチ)、オフェンシブハーフ3枚、フォワード1枚(1トップ)で構成されるフォーメーションです。
4-2-3-1の構成
- 4枚 ディフェンス
- 2枚 ディフェンシブハーフ(ボランチ)
- 3枚 オフェンシブハーフ(トップ下)
- 1枚 フォワード(1トップ)
ディフェンス4枚と、ダブルボランチを配置することから、「まず守備をしっかりやる」というイメージで使われます。そして、オフェンシブ(トップ下)が3枚で、サイドにスピードがある選手、中央にテクニックがある選手を配置する事が多く見られます。それでは、攻撃について見ていきましょう。
4-2-3-1の攻撃
攻撃は、オフェンシブハーフ3枚を起点に攻めるイメージです。
マリノスの場合、オフェンシブハーフの左と右にスピードのある、斉藤選手、遠藤選手を配置。トップ下にボールキープができる中村選手を配置しています。
攻撃の始まりは、ディフェンスラインの4枚とボランチ2枚でボールを回す(ポゼッションする)ところから。動画 前半① 1分18秒~2分22秒あたりで、ボールを回しながら、前にいる中盤(ミッドフィールダー)の斉藤選手、中村選手、遠藤選手にパスを出すタイミングを狙い、パスが出せたらパスを出しているのがわかります。中盤の中村選手、斉藤選手、遠藤選手がボールを受けると、攻撃のスピードを1段上げるイメージです。
横浜F・マリノスの場合、オフェンシブハーフ(トップ下)の中村選手が自由に動くスタイルを採用しているように見えます。ボールキープができる中村選手が自由に動くことで、ボールに触る回数を増やす。そして、そこからチャンスを作る意図が感じられます。試合の中で、ポジションに関係なく自由に動く選手がいる場合、相手がマークにつき難くなる効果があります。中村選手は、サイド、ボランチの位置、トップの位置。あらゆるところに顔を出しています(ボールを受けに行っています)。
逆に、他の選手は、自由に動く選手に合わせて動いたり、スペースを埋めたりする必要があります。なので、自由に動く選手を配置するのは、事前にチームとして決めているからこそ機能する戦術になります。
また、4-2-3-1のフォーメーションの難しさの1つとして、フォワード(1トップ)の動き方と役割があります。フォワードが1枚なので、ボールを受けることを意識しすぎると、フィニッシュ(シュート)の場面に入れなくなります。かといって、1トップでボールを受けられないと、ただボールを回しているだけのイメージになり、攻めが単調になります。
また、フォワード1枚なので相手のマークを受けやすくなります(相手にパスカットを狙われやすい)。なので、1トップにどういう役割を持たせるか、1トップがどういう動きをするか、1トップを使ってどう攻めるか、事前にチーム内で決めておく必要があります。
4-2-3-1のフォワード(1トップ)の難しさ
- ボールを受けることを意識しすぎるとフィニッシュ(シュート)入れない
- 1トップでボールを受けられないと単調な攻めになる
- 1トップなので相手に狙われやすい
役割や動き方を事前に決めておけば、フィニッシャー(シュート)に徹する、または、ボールを受ける役割に徹するも、有りだと思います。他のポジションの選手の役割や動きを工夫すればいいだけなので。
この試合、1点目は、横浜F・マリノスの1トップの富樫選手が得点しました。富樫選手を意図的に使った、というより、クリア気味のボールに反応して、シュートまで持って行ったのがわかります。(動画 前半① 3分~)
逆に言うと、こういったディフェンスラインからのボールを予測しておくことも、フォワードの役割とも言えます。同じような場面が、もう一つありました。動画 前半① 5分45秒~では、ディフェンスラインからのクリアボールに富樫選手が反応。素晴らしいトラップでキープ、中盤(ミッドフィールダー)の斉藤選手にパスをつないでいるのがわかります。
富樫選手は、こういったディフェンスラインからのクリアボールを常に狙ってるんでしょう。「この辺にボールがくるかも?」といった、事前の予測をしているからこそできるプレーです。フォワードとして素晴らしいプレーの一つだと思います。フォワードがこういったプレーをやってくれると、チームとして非常に楽になります。
続いて、4-2-3-1の攻撃の特徴が出た場面がありました。動画 前半② 2分38秒~、オフェンシブハーフを起点とした攻撃を見ることができます。
- 左サイドで中村選手がボールをカット
- ボールを受けた喜田選手が右サイドの遠藤選手に展開
- 遠藤選手が溜めを作り、サポートに来た中村選手へパス
- 遠藤選手は、ディフェンスライン裏のスペースへ抜ける動き
- 中村選手は遠藤選の手動きに合わせてスルーパス
- 遠藤選手がセンタリング
- 富樫選手がゴールを狙う
ショートカウンターですね。得点にはなりませんでしたが、4-2-3-1のフォーメーションを採用しているマリノスがの狙い(形)が出た場面だったと思います。
4-2-3-1の守備
4-2-3-1の守備を見て行きます。
守備では、4-2-3-1のフォーメーションから、4-4-2の形になっているのがわかります。
動画 前半③ 3分20秒~4分45秒では、まず、フォワードの富樫選手とトップ下の中村選手が、2人でパスコースを限定(縦のパスコースを消す)。オフェンシブハーフの斉藤選手と遠藤選手は、ボランチと同じ位置まで下がり、守備の準備をしています。つまり、守備の時は、4-2-3-1のフォーメーションではなく、4-4-2のフォーメーションの形になっています。
横浜F・マリノスの守備
- 富樫選手と中村選手がパスコースを限定
- 斉藤選手と遠藤選手はボランチと同じ位置まで下がり守備の準備
- 守備では4-4-2の形になっている
マリノスの守備は、まず最初に4-4-2の陣形を作っています。そして、相手が自陣にボールを運んでくるまで無理してボールを取りに行きません。ここで、ボールを無理に取りに行かない理由は3つあると思います。
- 1-0で勝っている
- 勝っているので余計な体力を使う必要は無い
- かわされた時のリスクを避ける(数的不利を避ける)
4-4-2の陣形を作り、自陣まで下がる。これで、密集地帯を作り、相手に自由にプレーさせない戦術を取っています。ここから、サイドにボールを追い込んで、相手が密集地帯の中を無理にボールをつないできた時に、パスカットして、カウンターを仕掛ける狙いです。
4-2-3-1のその他
こうやって、横浜F・マリノスの試合をじっくり見ると、中村選手もしっかりディフェンスやってるなあと思いました(笑)。あと、やっぱ上手いですね、中村選手。パスを出すタイミング、小技。他の選手とは何か別の感覚を持っている感じがします。
中村選手のような上手い選手(ボールキープができる選手)がいる場合、あまりフォーメーション(ポジション)にこだわらない動きをさせることで、チャンスを多く作れることがあります。その分、他の選手は、そういった自由に動く選手に合わせてポジションを取る必要があります。
横浜F・マリノスは、4-2-3-1のフォーメーションを取っていていますが、守備の時は、4-4-2の形になるスタイルです。ディフェンスラインからパスをつないで行く攻撃は、連動性があっていいと思いました。ただ、最後の崩し(シュートまでの崩し)にもう一工夫が必要だと思います。フォワード(1トップ)をどれだけ上手く使えるかが、鍵となるでしょう。
ディフェンスラインから3枚のオフェンシブハーフまでボールをつないだ後、どう1トップを使うか。この試合では、オフェンシブハーフから、1トップへのパスがほとんど無かったと思います。1トップをもう少し使えるようになるとオフェンシブハーフ、特にサイドの選手が相手ディフェンスラインの裏に抜けるプレーがやりやすくなります(相手ディフェンスラインが1トップの高さでラインを保つ傾向があるため)。
横浜F・マリノスがJリーグチャンピオンになるためには、1トップがボールを触る回数を増やすことが、必ず必要になってくると思います。今後、マリノスがどう修正してくるか、注目していきたいと思います。
サッカーフォーメーション最強レアルマドリッド433を徹底分析!
続いて、レアルの4-3-3です。
2016年3月20日(日)に行われた、リーガ・エスパニョーラ(スペイン)の第30節。レアル・マドリッド 対 セビージャFC戦を見て行きます。フォーメーションは、レアル・マドリッドが4-3-3。対するセビージャFCは、4-4-1-1です。
4-3-3の特徴
4-3-3は、4枚のディフェンスに、中盤(ミッドフィルダー)3枚、フォワード3枚(3トップ)で構成されるフォーメーションです。
4-3-3の構成
- 4枚 ディフェンス
- 3枚 ミッドフィルダー
- 3枚 フォワード(3トップ)
フォワードを3枚配置することから、「攻撃重視」というイメージで使われます。特にレアルの場合、3トップが強力。3トップの両サイドに、個人で局面(相手のブロック)を打開できる選手、クリスティアーノ・ロナウドとベイルを配置。また、センターフォワードは、正確な技術を持ち、ゴール職人的な選手、ベンゼマを配置しています。3トップの3人でもゴールを取る、とイメージが伝わってきます。
4-3-3の攻撃
この試合の1点目は、レアル。フォーメーション4-3-3の攻撃のお手本のようなゴールでした。サイドチェンジ後、サイドからクロスを上げ、ゴールする形でした。
- キーパーナバスが、ゴールキックをフェルナンデスにつなぐ
- フェルナンデスが、左サイドバックのマルセロにつなぐ
- マルセロは、フェルナンデスにボールを下げる
- フェルナンデスは相手のプレッシャーを避けるため一旦前線にクリア
→このとき、すでに相手のプレッシャーがかかっている状態
→このボールは相手セビージャの選手が跳ね返してごちゃごちゃの状態
(↓図はここから)
- こぼれ球に反応しクロースが蹴ったボールがベンゼマの足元へ
- カミーゼは、右サイドのスペースにサイドチェンジのパス
- 右サイドバックフリーのダニーロがボールを受け軽くドリブル
- ダニーロは、ベイルにパス
- ベイルも軽くドリブルを仕掛け、早いタイミングでクロス
- 中央のベンゼマがダイレクトで合わせて、ゴール!
4-3-3のフォーメーションが綺麗に機能したゴールと言っていいでしょう。
- 相手が密集している左サイドから、空いている右サイドへサイドチェンジ
- 右サイドでシンプルに前に運ぶ
- シンプルなクロス
- 最後に決める
このゴールシーンで、特に注目してほしいのが、フォワードのベンゼマ。
最初ベンゼマは、センターサークル付近でこぼれ球を予測し、カミーゼにパスをつないでいます。その後、ゴール前に動きなおして、ベイルからのクロスに合わせてゴール。これは、ボールを受ける動きの後、ゴール(シュート)する動き、と言ったフォワードの基本的な動き方を見せてくれています。最後のシュートは、ハーフボレーで何気に難しく、技術の高さを証明しています。この場面、ベンゼマがボール触った回数は、たったの2回。ボールに2回触っただけで、得点できるんですね~。
このゴールは、レアルマドリッドのジダン監督が狙った形の1つであることは間違いないでしょう。
同じような形が、別の場面でも見られました。ゴールにはなりませんでしたが、4-3-3のフォーメーションを象徴するような攻撃(形)です。
ディフェンスラインのつなぎから、ボランチに当てて、フォーワードへの楔(クサビ)。そこから、サイドに展開して、また中央という形でした。1点目にゴールを取ったときと同じような形です。
次に注目したいのが、レアルの4-3-3のフォーメーションで、3トップのポジショニングです。
4-3-3を採用しているレアルですが、3トップの選手は最終的にペナルティエリアの幅の中でプレーしていることです。サイドにいたとしても、最終的には、ゴールに近いペナルティエリア付近でプレーする。つまり、Cロナウド、ベンゼマ、ベイルは、常にゴールを狙ってるということです。
図では、ダニーロからボールがスタートしてますが、実際は、左サイドマルセロ⇒ダニーロ⇒右サイドにいたモドリッチ⇒ベイル⇒ダニーロ(図はここから)⇒ヴァラン⇒フェルナンデス⇒マルセロ⇒クロース⇒モドリッチ⇒右サイドダニーロのクロス⇒C.ロナウド(ゴール)、とパスがつながっています。
C.ロナウドがゴールを決めたとき、ベンゼマ、ベイル、Cロナがペナ中央付近(ゴールエリア幅内に終結)。ベンゼマがニア、ベイルがペナ付近、C.ロナウドがファーポストでゴール。3トップの3人が、ペナルティエリアの幅の中でプレーしていることがわかります。
2点目のゴールの形も、4-3-3のフォーメーションが機能した形と言っていいでしょう。
マルセロのパスから始まったレアルの攻撃は、一度右サイドへのサイドチェンジしてから、左サイドにボールが戻ってきて、そこからまた右サイドにサイドチェンジする展開になっています。ボールを動かしながら(フリーな選手でパスをつなぎながら)サイドチェンジをする。その間に攻めやすい局面(相手の陣形)を確認しつつ、フォワードの選手がスペースを見つけて動き出す。最後は、サイドバックのダニーロがクロスを上げて、C.ロナウドがゴール、流れです。
このゴール場面、3トップの3人がペナルティエリアのゴールエリア幅に集結していましたし、両サイドバックも高い位置を取っている。つまり、センターバック2枚を残して、8人で攻めているイメージ。
攻撃型と言われる4-3-3のフォーメーションの特徴が、わかりやすく確認できる場面でした。
次は、守備について見て行きます。
4-3-3の守備
守備で注目したのは、3トップの選手がどう守備に係わるかというところです。攻撃的なフォーメーションとされる4-3-3で、攻撃の選手が守備に係わるか。
そんな場面を見ることができたのが、C.ロナウドのフォアチェック(前線から相手にプレッシャーを与える)プレーでした。
フォワードの前線からの守備です。最初C.ロナウドは、左サイドのセビージャの選手をケア(距離をとってマーク)していました。右サイドのセビージャの選手が中央にパスを出した瞬間、C.ロナウドは自分のマークを捨て、セビージャ中央の選手にプレッシャーをかけに行っています。
このとき、C.ロナウドは、まず自分がマークしていたセビージャの選手の位置を確認(ちら見)。その最初にマークしていた選手へのパスコースを切りながら(パスを出させないようにしながら)プレッシャーをかけに行っています。
プレッシャーをかけに行くタイミングとプレッシャーのかけ方が抜群。結果、C.ロナウドがプレッシャーをかけたことで、相手のパスミスを誘い、マイボール(スローイン)になっています。
C.ロナウドのフォアチェック
- プレッシャーをかけに行くタイミング
- プレッシャーをかけに行く判断
- プレッシャーをかけに行く前の最初のマークの確認
- プレッシャーをかけに行くコース取り
次に、ベイルのポジショニング。この試合、レアルのディフェンスの場面で、ベイルが下がるシーンが多く見られました。
セビージャのボール回しが始まると、レアルの選手は、自分のマークを探しながら、ディフェンスラインを下げていきます。ディフェンスラインの4枚と中盤の3枚、そしてベイルがセビージャの選手マークについています(横浜F・マリノスも同じように自陣でブロックを作っていました)。セビージャが自陣に入ってきたところでボールをカットしています。
この場面の守備。実は、素晴らしいゴールにもつながっています。(動画 1時間12分55秒~)
- 自陣中央でカゼミーロがパスをカット
- カゼミーロ→クロース→カゼミーロ→モドリッチと細かいパス交換
- モドリッチが越えたセンターサークル付近までボールを運ぶ
- モドリッチがセンターサークルを越えたあたりで右に開いたC.ロナウドへパス
→この瞬間、ディフェンスラインまで戻っていたベイルがダッシュを始める
→この辺りでベイルがボールをキープしているモドリッチを追い越す
→ベンゼマは左サイドに開く動き
→C.ロナウドはモドリッチの前を横切りながら右サイドに開いてボールを受ける準備
- C.ロナウドは、パスを受け、1、2タッチでペナルティエリア右角手前付近に侵入
- ベイルがC.ロナウドを内側から追い越しパスをもらおうとする
- C.ロナウドがベイルに出したパスが、若干ズレる
- ベンゼマが相手キーパーが出てきているのをとっさに判断
- ボールはそのまま走っているベイルの足元に
- ベイルが、ゴーーーール!
→このときベンゼマは、ペナルティエリア中央手前付近にいる
→ベイルがスルーした形になり、ボールは中央のベンゼマへ
→チップキックでキーパーをかわす
見事なカウンター。
何がすごいって、ベイルの約90mの猛ダッシュ。
ディフェンスライン付近にいたベイルは、マイボールになった瞬間、ゴールに向けてダッシュを開始。味方がボールを回している間にゴール前へ。一瞬、C.ロナウドからのパスがズレたように見えましたが、ベンゼマのアイデアも光りました。チップキックのふんわりボールでキーパーをかわす。最後は、ベイルがゴール。
あっぱれ!、です。
ベイルの素晴らしいプレー
- 守(しゅ)から攻(こう)への切り替えの速さ
- 約90mをトップスピードで走る走力
- ゴールへの意識
- ゴール
サッカーフォーメーション4-2-3-1と433で最強はどっち?
4-2-3-1と4-3-3のフォーメーションを見てきました。
サッカーのフォーメーションは、その他にもまだだいろいろあります。
例えば、
- 3-4-2-1浦和レッズ(Jリーグ/日本)
- 4-4-2ACミラン(セリエA/イタリア)
- 4-1-4-1バイエルンミュンヘン(ブンデスリーガ/ドイツ)
- 4-4-1-1リバプール(プレミアリーグ/イングランド)
- 3-4-3イタリア代表
このように、フォーメーションは、チームによって違います。また、同じチームでも試合によってフォーメーションが変わることがあります。
先日行われた、ワールドカップアジア2次予選。日本代表は、アフガニスタン戦では4-4-2、シリア戦では4-2-3-1のフォーメーションで戦いました。
先日の日本代表のフォーメーション
- 4-4-2アフガニスタン戦
- 4-2-3-1シリア戦
また、昨日行われた、リーガエスパニョーラ(スペインリーグ)のクラシコ。バルセロナ対レアル・マドリッド。バルセロナは、4-3-3のフォーメーションでしたが、その前の試合は3-4-3のフォーメーションで戦っていました。
フォーメーションがチームや試合で違うのはなぜ?
フォーメーションは、なぜ、チームによって違ったり、試合によって違ったりするのか?
簡単に言うと、チームによって選手も監督も違うからです。
選手の能力も違えば、監督の考え方も違う。だからフォーメーションも違う。結局、どんなにいいフォーメーション、最強だと思われるフォーメーションを掲げたとしても、それを実行する能力を持つ選手がいなければ意味がありません。監督についても同じことが言えます。フェラーリを持っているが、運転免許を持っていない(運転できない)ようなものです。
だから、同じフォーメーションでも、チームによって役割や動き方が違って当然です。
サッカーの試合は、選手が流動的に動きます。そして、フォーメーションは、攻撃、守備で変わることもあります。例えば、横浜F・マリノスは、通常4-2-3-1のフォーメーションですが、守備の時には4-4-2のフォーメーションの形になっていました。レアルマドリッドも、守備の時は通常の4-3-3ではなく、5-3-2の形になったりすることがありました。
そして、相手の強さが変われば、フォーメーション(各ポジションの役割や動き方)を変えたほうがいい場合もあります。相手が強ければ、守備の枚数を増やす、などです。
フォーメーションは、単なる役割分担表のようなも、と考えるのがいでしょう。どのポジションの選手が、どんな役割を持って、どのような動きをするかチーム(監督)で決める。フォーメーションを決めることで、そのチームの各ポジションの役割や動き方を、監督と選手が共有することができます。
監督がフォーメーションを決めるポイントは、3つあると思います。
- 選手の能力
- 対戦相手の能力
- 監督の好み
4-2-3-1と4-3-3で最強はどっち?
「4-2-3-1と4-3-3で最強のフォーメーションはどっち?」
ここまでくれば、この質問が意味をなしてないことがわかるはずです。
ただ、本当に最強のフォーメーションは無いのか?という質問には、条件付で「ある」と答えることができます。つまり、そのチームとって、最強のフォーメーションはある、という事です。
ただ、そのチームの最強のフォーメーションは、そのチームの最強であって、選手が変わったり、対戦相手が変わると最強でもなんでもなくなります。相手が弱ければ、攻撃的なフォーメーションが最強でしょうし、相手が強ければ守備的なフォーメーションが最強、ということになります。
結局、何が一番いいのかというと、フォーメーションにとらわれないことが、最も強いチームで、最強と言えるでしょう。
フォーメーションは、あくまで、役割分担表。攻撃の時、守備の時、各ポジションの選手がどのように動くか、どんな役割を持つのか。そして、リスタート時の陣形であり、動き始める開始のポジションを決めたもの。後は、選手が自分の考えで動き、プレーする。
フォーメーションがあることで、選手同士、監督と選手で共通のイメージを持つ事ができます。共通のイメージを持つ事で、選手、監督は、少ない言葉で意思疎通ができます。身振り手振り、アイコンタクトでお互いのやりたいことがわかることもあります。
フォーメーションはあってもいいけど、各ポジションの選手がどんな役割で、どう動くか、事前にチームで共通認識を持つことのほうが大切。また、相手が、違うフォーメーションの場合どう自分達のチームは、どう考えて、どう対応するのか。
同じフォーメーションでも、攻め方、守り方は変わる。
フォーメーションを変えるか、選手の役割を変えるのか。
フォーメーションは、選手の能力によっても変わる。
フォーメーションに選手を当てはめるのではなく、選手の能力に適したフォーメーションにすることが、そのチームに最もいいフォーメーションになるでしょう。
そでは、今回もありがとうございました。