こんにちは、イノです。今回はサッカーのサイドバックのポジショニングと動きについて。
「サッカーでサイドバックやってるんですけど、ポジショニングや動き方がよくわかりません?」こんな質問を聞くことがあります。やったことないポジションや慣れてないポジションって、いざやってみると「どう動けばいいんだろう?」ってなりがちです。
そこで、今回は、サイドバックのポジショニングと動き方【攻撃編】として、徹底解説して行きます(各ポジションの役割や動き方ついては、「サッカーポジションの役割と動き方性格や8人制についても徹底解説! 」 にも書いてます)。それでは、行ってみましょう。
目次
サッカーでサイドバックのポジショニングと動き方攻撃の基本
まず、サイドバックのポジショニングと基本的な動き方を見ていきます。と、その前に、先ほど紹介した記事にも書いてるんですけど、最初に頭の中に入れておいてほしいことが1つあります。それは、
「ポジショニングや動き方はチームや監督の方針によって違ってくる」
ということです。
ポジショニングや動き方はチームによって変わる時がありますよ、ってです。基本的な動き方や考え方はあるんですけど、絶対決まってるわけじゃありません。
あるチームに行くと「上がれ!」って言われてた場面が、あるチームでは「上がるな!」って言われる場合もある。これはサイドバックに限らず、全てのポジションで言えることなんで、頭の片隅に置いといてほしいですね。今後、大学、社会人、もしかするとプロのチームに行くかもしれませんが、監督の考え方や戦術でポジショニングや動き方が変わってくるんです。まあ、基本的な部分は同じなので、そのへんを中心に話していきます。
サッカーのポジションや動き方の考え方のポイント
- チームで違う
- 監督で違う
- 戦術で違う
サイドバックのプレーゾーンとポジショニング
■プレーゾーン
まずは、サイドバックのポジショニング。
ポジショニングの話をする時に知っておきたいのが、「プレーゾーン」(動く範囲)です。サイドバックに限らず、各ポジションで動く範囲がだいたい決まっていて(絶対じゃないですよ)、その範囲でプレーすることが多くなります。攻撃の時も、守備の時も同じです。
プレーゾーンを意識することで、自分が「どのへんにポジションを取ってるか」ってのを判断できるようになります。例えば、上がりすぎてないか、下がりすぎてないか、(右、左)に寄りすぎてないか、を判断することができるようになります。また、プレーゾーンをもっと細分化して戦術を決めていく場合もあります。実際のポジショニングや動き方は、ボールの位置や距離、相手や味方との距離でも変わってきます。
右サイドバックのプレーゾーンは、こんな感じになります。(左サイドバックは、反対で考えてください。)
だいたいグランドの右半分ぐらいですかね。「え?、そんなに広いの?」と思ったかもしれません。でも、実際の試合の中で意識するとわかるんですけど、ボールの位置や試合の状況によって、これくらいの範囲は動いてますし、動く必要があります。
これは、ガンバ大阪の藤春 廣輝のゴールです(2017年4月16日 J1 第7節 セレッソ大阪vsガンバ大阪)。藤春選手は、左サイドバックです。この時のポジションを見ると、最初、左サイドバックのプレーゾーンぎりぎり(中央)のところにポジションを取っています(0:59で一時停止するとよくわかります)。そして、右から流れてきたボールに対して、素早く反応してゴールしています。チャンスと見るや否やプレーゾーンをを超えて、シュートまで行っているのです。
サイドバックがメインで動くのは、サイド付近が多くなりますけど、状況によっては、このプレーゾーンを飛び出してプレーすることもあります。カバーリングをする時や、マークの受け渡しができない場面、あとは、藤春選手のゴールシーンのようなシュートチャンスがある時です。プレーゾーンはあくまで「目安」であって、絶対守らないといけない境界線ではないんです。その時の状況に応じてプレーする必要があるってことです。続いて、ポジショニングについて見ていきましょう。
■ポジショニング
ポジショニングも、試合の状況やボール、味方、相手の状況を意識することが大切です。
ポジショニングで意識するポイント
- 攻撃か、守備か
- ボールと味方と相手の位置
- ボールと味方と相手の距離
- 試合時間帯
- 戦術
といった感じです。
まず意識するのは、自分のチームが「攻撃しているのか、守備をしているのか」。攻撃をしてるなら、ボールを受ける準備、ボールをもらう動きをします。守備なら、自分のマークとカバーリングを意識しながらポジションを取っていきます。ボール、味方、相手の位置と距離を意識しながらポジショニングを取ります。
例えば、攻撃の時、左サイドにボールがある場合は、右サイドバックは次のようにポジションを取ります。
■攻撃で左サイドにボールがある時の右サイドバック(4番)のポジショニングと動き出し
- 【A】ディフェンスラインでサイドチェンジのボールを受ける
- 【B】中盤からの展開でボールを受ける
- 【C】左からのセンタリングに対応する
【A】ディフェンスラインでサイドチェンジ
ディフェンスラインでサイドチェンジのボールを受ける時は、バックステップを使いつつ、右サイドにポジションをとります。この時意識するのが相手との距離です。相手との距離が近すぎると、パスカットされる可能性があるので、味方がパスを出せません。なので、味方からのパスをカットされないポジション、または、トラップしてもすぐにプレッシャーを受けない位置にポジションを取るようにします。
この距離間は、パスの出し手と受けての技術によって変わってきますし、変える必要があります。サッカーのレベルが高いほど、相手との距離間が近くなります。ようは、相手が近くにいてもプレッシャーを感じないってことです。レベルが高いと、出し手のパスも正確で、パススピードも速くなります。また、受け手もトラップ、一対一での技術もあるため、プレッシャーを受けても、ボールを簡単に失いません。逆に、技術が無いと相手からのプレッシャーを感じやすくなるため、十分な距離を取る必要があります。相手がプレッシャーをかけてきても、次のプレーができる距離をとるのが必要です。
【B】中盤からの展開
中盤からの展開は、4つ考えることがあります。
中盤からの展開でサイドバックが考えるポイント
- 足元でもらうのか
- 前のスペースでもらうのか
- 後ろのスペースでもらうのか
- 裏のスペースでもらうのか
簡単に言うと「中盤のサポート」です。サポートって言うのは、中盤の選手からボールをもらう準備をする(パスがもらえるポジションを取る)ということです。パスがもらえるポジションというのは、パスの出し手が、パスを出しやすいポジション(パスカットされ難いポジション)のことです。相手のプレッシャーを受けにくいポジションを意味しています。つまり、相手との距離間を意識する必要があります。パスカットされない、パスを受けてからプレッシャーを受けないポジションでボールを受けるのがポイントです。
これは、右サイドバック4番の選手が、足元、後ろ、前、裏のスペースでボールをもらうのをイメージしています。ようはですね、「ボールを持ってない時は、常にボールをもらう準備をする」ってことです。ここでは、中盤からの展開、って言ってますけど、中盤だけでなく、センターバックや逆のサイドバック、フォワードからもパスがもらえるよう常に準備します。
あと、もう一つポイントを言うと、「パスが出てくるか出てこないかは、パスを出す方の判断。パスが出てくる、出てこないに関係なく、パスがもらえるポジションを取る」のが大切です。パスがもらえるポジションを取って、パスが出てこなかったときに「あー、パスが来ない」で終わるんじゃなくて(動きを止めるんじゃなくて)、また動きなおして、パスがもらえるポジションを取る。そして、これを繰り返す。こうすることで、ボールを持ってる人はパスコース(選択肢)が増えるし、パスがつながりやすくなります。これは、サイドバックに限らず、すべてのポジションで言えることなんです。「気が利いたポジション(パスの出し手がパスを出しやすいポジション)」が取れるよう試合中は常に意識しておきたいですね。
強いチーム、レベルが高い選手ほど、こういった基本的なことができています。だから、強い、強いチームになる、とも言えるんですが。
【C】左からのセンタリングへの対応
左からのセンターリングを直接シュートに行く場面って、そんなにないと思います。なので、イメージ的には、ペナルティエリア付近でこぼれ球(セカンドボール)を拾うポジショニングを取ることの方が多いと思います。もちろん、状況によって、直接シュートにいけることもありますけどね。
これは、鹿島アントラーズ西大伍選手のゴールです(2014年4月18日 J1リーグ 第28節 鹿島アントラーズvs柏レイソル)。左からのセンタリングに対して、こぼれ球をダイレクトでシュートに行っています。あそこにポジションを取っておくことで、こぼれ球に反応できるし、もしセンターリングが直接来たとしても対応できます。
ただ、この場面で意識したいのは、バランスです。全体のバランス。
左からセンターリングが上がってくるってことは、左サイドバックがオーバーラップしてる可能性がありますよね?その状況で、右サイドバックもペナルティエリア付近まで上がってしまったら、ディフェンスラインの両サイドに、大きなスペースができてしまいます。つまり、ボールを相手チームに奪われた瞬間、速攻(カウンター)をくらってしまう可能性が出てきます。なので、サイドバックの選手がペナルティーエリア付近まで上がるときは、バランスを意識しておく必要があるです。
パランスってのは、自分が上がっても、空いたスペースを使われないようにするってことです。例えば、相手の攻撃の選手が2、3人ディフェンスライン付近に残っている時は、サイドバックは上がらないことの方が多いです。もちろん、状況によってなんですけど、「相手の攻撃選手の数+1」の人数で守ることが一般的です。
逆に、自分が相手の選手をマークする必要がない状況なら、どんどん上がっても大丈夫だと思います。ただ、上がった後、ポジションに戻れない時(戻るのが遅れる時)は、別のポジションの選手(ボランチが多い)がカバーリングに入る必要があります。なので、試合前にどういう状況の時に、誰がカバーリングに入るかというのを、話あっておく必要があります。上がる(オーバーラップする)時は、次のことを意識するといいでしょう。
上がる(オーバーラップする)時のポイント
- 相手の選手を自分がマークしてるか、してないか
- 相手の攻撃の選手が何人残ってるか
- 速攻(カウンター)をくらう状況じゃないか
- 勝ってるか、負けてるか
- どういう時間帯か(残り時間はどれくらいか)
基本的にディフェンスラインは、相手の人数+1でマークに付きます(1人余らせるイメージ)。ただ、負けてる場合とか、戦術によっては、変わることもあります。
続いて、サイドバックのボールのもらい方を見ていきましょう。
サッカーサイドバックの動き方!ボールのもらい方は?
サイドバックがボールをもらう時、基本的には、相手のディフェンスから遠い足でボールをトラップするのが一般的です。右サイドバックの場合、右足が相手のディフェンスから遠い足になります。なぜ、相手のディフェンスから遠い足でトラップするのかというと、外側の足でボールをトラップ、キープすることで、相手から遠い位置にボールを置く(キープする)ことができます。そうすることで、ボールを取られにくくなるのです。
この動画は、右サイドバックの選手がトラップして前の選手にパスするといった練習を紹介しています。この動画でもわかるように、右サイドバックの選手が、右足で少し外側にトラップして、右足でパスを出す、という流れになっています。最初のトラップで前を向くことで、前と斜めのパスコースができるので、相手がパスカットしにくい状況になるということです。
基本は、外側の足でボールを持つ方がいいんですけど、右サイドバックが、左足でボールを持っても問題はないですよ。長友選手のように、効き足じゃない方のサイドバックをやる時は、そうなりがちです。例えば、利き足が左足で右サイドバックをやる、っていう時。「外側の足でトラップするのが基本だから」と言って、利き足じゃない右足でトラップして、トラップミスをするプレーをたまに見たりします。別に無理せず、得意な方の足でトラップすればいいんです。ただ、相手にボールが近くなるので、ボールを取られないような工夫は必要ですけどね。ようは、ボールを取られなければいいんです。ボールを取られなければ、どちらの足でトラップしようが関係ありません。まあ、右サイドバックで右利きが得意な足であれば、右足でトラップするのがいいでしょう。
パスをもらう前、もらった時に意識する3つの選択肢
パスをもらう前やもらった時に意識しといたほうがいいことがあります。
パスをもらう前後で意識すること
- シュート
- パス、ドリブル
- ドリブル、パス
この、3つです。
まあ、これはどのポジションでも言えることなんですけど、まずはシュートですよね。ゴールが見えたら打つ(シュートが打てたら打つ)。サッカーは点を取るスポーツなので、まず第一に点を取ることを考える。常にシュートを打つ(点を取る)ことを第一優先として意識しておけば、シュートを打つ回数が増え、得点の確率が上がる可能性があるのです。
ただ、サイドバックがシュートを打てる場面ってそんなにありません。だらか、試合中はパスやドリブルを選択することが多くなってくるんです。上の優先度の「2、パス、ドリブル」と「3、ドリブル、パス」は、どちらが先でもかまいません。1つポイントを上げるとしたら、フリーの状態で、自分前にスペースがあったら、ドリブルを選択するのが基本です。
じゃあ、なぜ、自分の前にスペースがあったらドリブルしたほうがいいのでしょうか?それは、確実にボールを前に運ぶことができるからです。つまり、ボールを受けた位置より高い位置で、起点をつくることができるからです。
あとは、ドリブルすることで、相手をひきつけることができます。目の前のスペースをドリブルしながらボールを運べば、相手ディフェンスが寄ってきます。そうすると、別の味方のマークが甘くなるわけです。もし、相手ディフェンスが寄ってこなければ、フリーな状態で次のプレーができることになります。
「スペースがあったらドリブル」こう覚えておくといいと思います。ちなみに、自分の前にスペースが無い場合(相手がいる場合)は、ドリブルで仕掛けるのか、パスを選択するのかは、状況によって変わってきます。
サッカーサイドバックの動き方!パスの出し方とビルドアップは?
サイドバックのパスの出し方とビルドアップについて見ていきましょう。
サイドバックのパスの出し方
動画では、右サイドバックの位置で、縦にパスを出すと見せかけて、斜めにパスを出しています。ポイントは、右足(外側の足)でトラップしていること、体の向きを正面に向けていることです。こうすることで、パスを前にも出せるし、斜めにも出せます。
ポイント
- 右足(外側の足)でトラップしている
- 体の向きを正面に向けている
そして、サイドバックのパスの出し方のコツは「パスを出す優先度を決めておく」ということです。
サイドバックのパスを出す優先度(例)
- フォワード
- サイドハーフ
- ボランチ
- センターバック
- キーパー
これは、基本的な優先度(前線から)です。もちろん、戦術やチームの方針によっても変わってきます。大切なのはあらかじめ「決めておく(意識しておく)」というのということです。さらに、「出せるとこが無い(パスコースが無い)時にどうするか」も決めておきます。
パスコースが無い時にどうするか(例)
- 相手のコーナーフラッグめがけて蹴る
- 相手のディフェンスラインの裏に蹴る
- タッチラインに出す
こうやって「決めておく」ことで、判断が早くなるし、視野も広くなります。つまり、ボールを失うことが少なくなります。
サイドバックをやっていて、パスミスが多い選手は、この整理ができてない場合が多いです。基本的に、前線の選手へ優先的にパスを出していくのが一般的だと思います。ただ、前線の選手になればなるほど、相手のマークも厳しくなるので、簡単にパスを通せるわけではないです。
その場合は、中盤の選手にパスを出して、また受けたり、センターバックやキーパーに戻したりします。これも、戦術や個々の選手のスキルによって、パスを出す方がいい場合と出さない方がいい場合が決まってきます。そして、どこにもパスが出せない場合は、相手のコーナーフラッグを狙って蹴ったり、相手のディフェンスラインの裏に蹴ったり、タッチラインに出したりします。割り切って蹴るっていうことです(これも立派な判断です)。
大切なのは、ボールを失わないこと(相手に取られないこと)。一番いけないのが、判断に迷ってボールを失うことです。サイドバックは、独特の間合い(相手のプレッシャー)があるので、慣れてないと迷うことが多いですよね。なので、プレーの優先度を決めておくことで、迷う回数が減り、ミスが少なくなります。
ビルドアップ
ビルドアップは、ディフェンスラインからボールをつないで(パスをつないで)攻撃していくことを意味しています。今のサッカーは、キーパーから、と言ってもいいかもしれません。ディフェンスラインでボールを回しながら、どこから攻めるか探しつつ、最終ラインを少しずつ上げて攻撃して行きます。遅攻(ちこう)と呼ばれることもあります。反対は速攻(そっこう)、カウンターですね攻撃です。
ビルドアップの仕方もチームによって変わってきます。たとえば、スペインのバルセロナとイングランドのチェルシーだと、ビルドアップのスピード(攻めのスピード)が違うのがわかると思います。バルセロナの方がゆったりとビルドアップするイメージで、チェルシーのほうが縦に速くビルドアップするイメージです。チームによって、また、国によってある程度傾向があります。
ちなみに、日本代表は、ゆったりとビルドアップして攻めていくスタイル(戦術)だと思います。ただ、ここ最近「縦の意識」(早いタイミングで縦パスを入れる)ことが世界的に良いとされつつある傾向があります。なので、テレビの解説とかで「もっと縦に~」といった話を聞くことがあります。どちらがいいかというと、どちらでもよくて、そのチームの選手にあったビルドアップの仕方が一番いい、ビルドアップです。
サイドバックがボールを持った時、パスの判断をどうしたらいいのでしょう?基本的には、上に書いた「サイドバックのパスを出す優先度(例)」の優先度を持っておくのがいいと思います。で、チームの戦術によって微調整していく。
例えば、この場面、
この場合、どこにでもパスが出せる状況です。パスを前線にも出せるし、センターバックにも出せる。じゃあ、どこにパスを出すのが正しいのでしょうか?
正解は、どこでもOK。
基本で言うと、前線の方からになるんですけど、パスカットされなければ、どこに出しても問題ありません。
ただ、上のほうにも書いたんですけど、前線の方って相手もしっかりマークについてくるんで、なかなかパスが通り難いんですよね。パスを出しても、パスをもらった人が困る(プレッシャーを受けている)状況だとパスを出さない方がいいんです。
なので、「フリーな人(相手のマークが甘い人)にパスを出す」というのも、よく言われる選択肢の判断ポイントです。フリーな人(相手のマークが甘い人)にパスを出すというとこは、相手のプレッシャーをあまり受けてないということなので、パスの出し手も受け手もミスする確率が小さくなるのです。
ビルドアップしてゆっくり攻めるのか、縦にどんどんパスを入れて速く攻めるのか、には一長一短(メリットとデメリット)があります。
例えば、ゆっくりビルドアップする場合。基本的に近くにいるフリーの選手にパスを出すので、1本のパスとして考えるなら、それほど難しい技術は必要ありません。パスの距離が短いので。ただ、パスの回数が増えます。相手のプレッシャーを受けやすくなるので、パスを速く回す必要があります。パスを速く、連続してつなぐ必要があるし、相手のプレッシャーもあるので、その分、ミスの回数も増える可能性があります。自陣や中盤でパスをカットされると、ピンチになる可能性があるってことです。
逆に、縦にどんどんパスを入れていく(ミドルパス、ロングパス)場合は、速いパス回しが必要無いので、パスをつないでミスをする可能性が低くなります。ただし、縦パスは、パスの長さが長くなるし、相手もパスカットを狙ってきます。つまり、パス1本の精度が求められます。精度が求められるのはパスの出し手だけではありません。パスを受ける側のトラップの精度も求められることになります。パスが長いほど、トラップも難しくなります。
大切なのは、「チームで決めておく」ことです。どちらが正しいとかはありません。戦術の話になってくるんですけど、チームで共通意識を持つことで、ビルドアップでゆっくり攻めるにしても、縦に速く攻めるにしても、機能するのです。なぜなら、次のプレーを予測してプレーできるからです。どうやって攻めるか、ある程度チームで決めておくことで、攻撃がより機能します。
サッカーサイドバックの動き方!ドリブルで仕掛ける理由は?
これは、鹿島アントラーズの西大伍(にしだいご)選手のゴールです(2017年4月16日 J1第7節 ベガルタ仙台vs鹿島アントラーズ)。ある意味、サイドバックらしくない、素晴らしいゴールです。
サイドバックが仕掛けられるかどうかで、そのチームの攻撃力がだいぶ変わってきます。仕掛けるというのは、相手のディフェンスをドリブルで抜く、または、抜きにかかるということです。
仕掛けることで、なぜ攻撃力が変わってくるのでしょうか?それは、チャンスの数が変わってくるからです。相手のディフェンスを抜くことができれば、シュートやセンタリングでゴールにつながるプレーができます。また、相手のディフェンスを抜かなくても、抜きにかかったり、クロスを上げようとすることで、相手ディフェンスがそれを阻止しようとして足を出してきます。するとコーナーキックが増えるので、チャンスの数が増えるのです。
これは、浦和レッズの関根選手がドリブルで仕掛けた場面です(2017年7月17日 J1 2nd 第4節 浦和レッズvs大宮アルディージャ)。浦和レッズはフォーメーションが3-5-2なので、関根選手はサイドハーフですが、サイドバックが仕掛けるイメージとしては同じです。ドリブルで仕掛けてセンターリング、シュートまでは行けてませんが、仕掛けたことでコーナーキックをもらっています。
また、そのサイドバックの仕掛けをさらに有効にするのが、周りのサポートです。周りの選手が、パスを受ける準備をする(パスコースを作る、パスがもらえるポジションをとる)ことで、仕掛ける選手は、ドリブルとパス両方の選択肢を持つことができます。つまり、相手としては、ドリブルとパス両方のケアをする(阻止する)必要があるので、ディフェンスするのが難しい状況になります。
なので、サイドバックの選手がドリブルで仕掛けるのが大切なのと同時に、その仕掛けをさらに効果的にするため、周りの選手の動きも重要になってくるのです。
サッカーサイドバックのポジショニングと動きで必要な技術は?
サイドバックの攻撃の時の動きとポジショニングについて見てきました。サイドバックが攻撃の時に必要な技術をまとめると、
- プレーゾーンの技術(意識)
- ポジショニングの技術
- パスをもらう技術
- パスを出す技術
- ビルドアップの技術
- 仕掛ける技術
です。
実はこれらの技術、サイドバックに限った技術ではないんです。どのポジションでも共通した技術なのです。つまり、サーカーでこのポジションだからこの技術が必要、ってのはほとんどないんです。ただ、センターバックの選手は、ヘディングが強いほうがいいのと同じように、サイドバックの選手が、センターリングの精度が高い方がいいのは言うまでもありません。それって、結局キックの精度。つまり、どのポジションでも求められる技術なんです。
サイドバックは、サイドラインを背にしてプレーすることが多く、センターの選手と比べると比較的プレッシャーを受けにくいポジションでもあったりします。ただ、サイドバックは、サイドバック特有の間合いや感覚が必要になります。これは、サイドバックのポジションでプレーするしか身に付くものではありません。なので、サイドバック専門の選手が必要になってくるわけです。
サイドバックで大切なこと
攻撃の話をしといてなんですが、サイドバックとして第一に求められるのは、ディフェンスです。サイドバックのディフェンスについては、また別の機会にやりますが、サイドバックはディフェンスができてなんぼです(ディフェンスができることでまず評価される)。いくら攻撃ができても、ディフェンスができなければ意味がありません。別のポジションをやったほうがまだましです。なので、サイドバックは、まず第一に守備のことを考えるのが大切です。
ただ、サイドバックの選手が守備しかできないと、これまた話になりません。勝ってる時残り数分の守備固め専門の選手になってしまいます。レギュラーを取ることは無理でしょう。
今のサッカーでサイドバックは、攻撃の最初の起点になることが多いです。サイドバックから攻撃のスイッチが入ることも多々あります。つまり、守備もできて攻撃もできる、とても高い能力が求められるポジションでもあるのです。
是非、守備でも、攻撃でも活躍できるサイドバックを目指してほしいと思います。
それでは、今回もありがとうございました。
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